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中世の物語

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平安時代の雅から一変武士の社会へと
変わった時代。妖怪のお話や武士や
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しっぺい太郎(猿神退治)

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■前回のお話
しっぺい太郎(泣き祭)

行念は近江国長浜に着くやいなや通りゆく人、立ち並ぶ長屋一軒一軒にいたるまでしっぺい太郎という人を知らないか聞いて回りました。
しかし、帰ってくる言葉は皆同じで「知らんなぁ」と言うばかり。

行念は根気強く幾日も幾日もしっぺい太郎の事を聞いて回りますが手がかりすら得ないままいたずらに月日ばかりが過ぎてしまいました。
行念は疲れ果てて一軒の茶屋に入りました。

「このままではまたあの化物どもに娘が喰らわれてしまう・・・なんとかせねば・・・なんとかせねば」

茶屋の女将にいつものようにしっぺい太郎という男の事を聞くと以外な言葉が帰ってきました。
「しっぺい太郎?お寺の犬の名がしっぺい太郎やけどなぁ」

行念はハッとしました。
「化物め・・・男ではなく犬を恐れておったか!」

すぐさま行念は女将に聞いた寺に駆け込みました。
寺の境内では子犬が遊びまわっています。

「和尚様!あなたのしっぺい太郎をお借りしたい!」
行念は経緯と村人がいかに酷い仕打ちを受けているかをコンコンと話しました。

和尚様は聞き終えると口を開きました。
「しっぺい太郎はただの犬ではございません。山犬の子なのですわ」
「今春、山犬が子を産みましてな。母犬と一緒に世話をしてると情が移って一匹置いていくように頼んだのです。すると母犬はわかったように太郎を置いていきました。」

和尚の傍らで全ての話を聞いていたしっぺい太郎はわかっているように行念の元へ歩み寄りました。
「この子もやる気のようや。太郎をよろしく頼みました」

行念はしっぺい太郎を連れて急ぎ見附村に帰りました。
村人にしっぺい太郎の事を話すと半信半疑ではありましたが行念の指示に従うことにしました。

毎年、娘を入れていた長持にしっぺい太郎と行念を入れて神社の社に例年のように置いて村人は去って行きました。
しっぺい太郎はまるで武人のように静かに時を待っています。

すると、昨年聞いたに不思議な声が聞こえてきました。
「恐ろしや・・・恐ろしや・・・しっぺい太郎が恐ろしい・・・ここに太郎はおるまいな?」
「今宵もしっぺい太郎はおりはせん」

続いて、長持がドコドコと叩かれて歌が聞こえてきました。
「あのことこのこと聞かせんな
しっぺい太郎に聞かせんな

近江の国の長浜の
しっぺい太郎に聞かせんな
すってんすってんすってんてん」

そして、長持が開いた途端にしっぺい太郎はウオーーーンと唸り黒い影を一つかみ殺しました。
「しっぺい太郎だ!なぜ、ここに!!」

そういうと黒い影は慌てふためきまいた。
行年は鬼灯のように真っ赤な目がギラギラと輝く恐ろしき化物の正体をみました。
しっぺい太郎

それは年を経て大きく変化した猿の化生「狒狒」でした。
しっぺい太郎は次々と抵抗する化け物どもを爪で裂き、噛みちぎります。

行念も力になろうと刀を抜き放ち化物と交戦しました。

「おのれか!おのれがしっぺい太郎を連れてきたか!!」
そういうと化物は一斉に行念に襲いかかりました。

しかし、元武士である行念は化物の攻撃を交わします。
夜が明けること最後の狒狒がしっぺい太郎に噛み殺されました。

無数の巨大な猿の亡骸が神社に散乱しています。
「しっぺい太郎。ありがとう、これで村は救われた」

行念もしっぺい太郎も怪我を負いましたが命には関わる程のことはなく村に帰って行きました。
行念は村人を連れて再び神社に戻りました。

村人たちは恐れおののきました。
そして、行念としっぺい太郎に感謝を重ねました。

行念はしっぺい太郎をつれて長浜のお寺に帰って行きました。
しっぺい太郎は直ぐに傷を癒やして元気に遊びまわります。

それから次の春にはしっぺい太郎大きく成長したものの山犬には戻らず和尚さんの元で生涯を終えたということです。

■前回のお話
しっぺい太郎(泣き祭)


「しっぺい太郎(猿神退治)」登場人物

<しっぺい太郎>
山犬の子犬

<行念>
元々は腕の良い武士でだったが仕えていた家が戦に敗れてしまい、主人や仲間たちを弔うために雲水(旅の僧)となった

お話の評価

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