» 八岐大蛇「古事記 -712年献上 作者:太安万侶 -」

古事記

古事記

古事記は存在する日本最古の歴史書。
上巻は日本神話、中巻は神武天皇から
応神天皇までの記事、下巻は仁徳天皇
から推古天皇までの記事が収られます。

八岐大蛇「古事記 -712年献上 作者:太安万侶 -」

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天のもっとも清らかな処である高天原を追放された須佐之男(スサノオ)は、大空を降られると出雲国の肥河上流にある鳥髪に舞い降ります。河の力強い流れを須佐之男はじっと眺められていますと足元のせせらぎに箸が流れ着きました。
上流に誰か住んでいるとお思いになり、須佐之男は上流へ上流へと上がられますとつつましいな出で立ちの翁と老婆が何とも美しい娘にすがりつき涙を流しています。

「汝は誰か?」と須佐之男が訪ねますと翁は、「私は、国津神の大山津見(おおやまつみ)の子孫で、足名椎(アシナヅチ)と申し、こちらは妻の手名椎(テナヅチ)と申します。娘の名は櫛名田姫といいます。」と答えました。

続いて須佐之男は「汝らは何故そうも泣き喚く?」と尋ねられますと手名椎は「私の娘は元々8人おりました。それが高志の八俣の大蛇が毎年やって来ては娘を一人ずつ喰ろうてしまいついにはこの櫛名田姫一人になっていまいました。そして、今年も大蛇が現れる時期になりましたので、このようにないているのです」と語りました。

「その大蛇とはどのような姿をしている?」と須佐之男はさらに訪ねます。「目は鬼灯のように赤く、一つの胴体には8つの頭と8つの尾があります。その体には苔や蔦草、檜や杉が生え。その長さは8つの谷超え、8つの峰を渡るほどもあります。その腹を見ればどこでも血が垂れ爛れています。」と答えました。

須佐之男は「そなた達の娘を我に差し出しだされよ」と唐突におっしゃいますと足名椎は驚いた様子で「恐れ多い事です。しかし、まだあなた様の名前を存じません。」と訪ねます。

須佐之男は高らかに答えます「我は天照大御神の弟神である。訳があって高天原から下ってきたのだ」とお答えになります。これを聞いた老夫婦はさらに驚いた様子で「それは恐れ多いことで御座います。娘を差し上げましょう」と申しました。

それを聞くやいなや須佐之男は櫛名田姫を神業でクシに変えて、髪に挿すと「汝らは幾度にも繰り返し醸した強い酒をつくり、入り口の8つあるように垣を作り廻らしてその入口毎に棚を結びつけてその棚に大きな酒の入った桶をおいて待つように」と足名椎と手名椎に指示を出されました。

手名椎と足名椎はすぐさま7回絞った強い酒八塩折之酒を用意すると指示通りに準備を始めます。
全ての仕度を滞り無く終わらせます。すると辺に血腥い匂いが満ちてきました。すると足名椎のいう通りの鬼灯のような真っ赤な目をした八俣の大蛇が姿を現れました。

大蛇が現れるやいなや用意していた8つの酒桶に頭を突っ込み酒を勢い良く飲み始めます。大蛇は桶を砕く勢いで酒を飲み干すと動けなくなりそのまま深い眠りにつきました。須佐之男は待っていたとばかりに舞い踊るよう大蛇に近づくと10握りもある太刀を抜き放ち大蛇の頭を突き刺します。

須佐之男の八俣の大蛇退治
大蛇は激痛にうめき声をあげ須佐之男に巻きつこうと喰らいつこうと暴れまわりますが、酒が全身に回り素早く斬りかかる須佐之男を捉える事が出来ません。須佐之男が大蛇を斬りつけています。

まず、大蛇の全ての首を落とし、全身をバラバラに切り裂き次第に肥河は大蛇の流血で真っ赤に染まりました。

最後に大蛇の尾を斬っていますと太刀が途中で硬いものに当たり須佐之男が持っていた太刀は刃こぼれをおこしています。不思議に思い刃先で尾を丁寧に斬られますと中からつむ羽の太刀が出てきた。その太刀を手にとった須佐之男は尋常ではない貴さをお感じになりました。

須佐之男は天照大御神に献上すべき神剣であると悟られるとすぐさま剣を献上されました。この剣は天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)と申しまして八咫鏡、八尺勾玉、と並び3種の神器の一つとなるのです。

さて須佐之男は八俣の大蛇退治を片付けると宮殿を立てる場所を求めて出雲国を巡られます。須佐之男は足を止めると「ここに来て、我が心は清々しい」とおっしゃりこの場所に宮を築きました。この事からこの場所を須賀と呼びます。
宮を作っているとその地から幾重にも重なった雲が立ち昇った。須佐之男はその様子をご覧になると御歌を作られた。

「八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

清々しい風が吹きその風が製鉄の匂いを運ぶこの地に宮殿が完成すると、足名椎をお呼びになり「汝は我が宮につかえる者をまとめよ」と告げ名を稲田宮主須賀之八耳神と改めさせました。

その後須佐之男は、櫛名田姫と夫婦となり八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)をお産みになります。また、大山津見神の娘、神大市比売(カムオオイチヒメ)とまぐわりできた子は大年神(オオトシガミ)と申します新たな年を告げる神、次に宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)と申します稲の神。

須佐之男の長男である八島士奴美神と大山積神の娘、木花知流比売(コノハナチルヒメ)と夫婦となり出来た子が布波能母遅久奴須奴(ふはのもぢくぬすの)と申します。布波能母遅久奴須奴と日河比売(ヒハカヒメ)を娶って深淵之水夜礼花(フカブチノムヅヤレハナ)が産まれます。

深淵之水夜礼花は天之都度閇知泥(アメノツドヘチネ)と夫婦の契りを交わして設けた子を淤美豆奴(おみずぬ)と申します。淤美豆奴は布帝耳(フテミミ)と夫婦となり設けた子を天之冬衣(アメノフユキヌ)と申します。

天之冬衣は刺国若比売(さしくにわかひめ)と夫婦となり授かった事どもの名を大穴牟遅(オオナムヂ)又の名を八千矛(ヤチホコ)又の名を葦原色許男(アシハラシコヲ)又の名を宇都志国玉(ウツシクニタマ)又の名を大汝命(オホナムチ)又の名を伊和大(イワオホ)又の名を所造天下大神(アメノシタツクラシシオオカミ)又の名を幽冥主宰大神(カクリゴトシリシメスオオカミ)又の名を大名持(おおなもち)。

この様々な名を持つ神は何れ大国主神(オオクニヌシ)となってゆくのです。

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