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八郎太郎伝説 -八郎太郎と辰子の出会い-「東北地方民話」

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春になり、田沢湖にいる鴨達は北の八郎潟へと飛び立って行きました。
辰子は冬の間、鴨たちの旅の話を聞くのを楽しみにしていました。
その話の中で、八郎潟には八郎太郎という、辰子と同じく元は人間で龍神となった湖の主がいるという事を耳にしました。
自分と似た境遇の八郎太郎に一度会ってみたいと心惹かれた辰子は、鴨達にその思いを託したのでした。

八郎潟へ降り立った鴨達は早速、辰子の気持ちを八郎太郎に伝えました。
八郎太郎は喜んで、冬になったら辰子のもとを訪れようと思いました。
そして冬になり、あられの降る晩、八郎太郎は潟のほとりの井戸で身だしなみを整え、田沢湖へと向かっていきました。

八郎太郎は立派な身なりの旅人の姿で一夜の宿を求めながら、川沿いをくだっていきました。
宿では決まって部屋を覗かないようにと主人に頼み、約束を守った宿屋にはたくさん金品を残して出ていくので、大変喜ばれ、その宿屋は栄えました。
一方で部屋を覗かれた宿は、災いが起こり、次第に没落していきました。

旧暦の11月9日、八郎太郎は桧木内川から潟尻川を経て、現在の潟尻方面から田沢湖にやってきました。
その場所には現在、浮木神社が佇んでいます。
辰子も八郎太郎の来訪に大変喜びました。
「なんとこの湖ば水は綺麗で、山々もすばらしい。なにより辰子ばいっぺべっぴんだ。ここで一緒に暮らせたら、幸せだべなあ。」
そう八郎太郎は言い、辰子はその思いを受け入れました。

八郎太郎伝説 -八郎太郎と辰子の出会い-

それから毎年、冬になると八郎太郎は田沢湖へ訪れました。
主が留守の八郎潟は冬の間凍り、二人が同居する田沢湖は愛の熱で凍る事がなくなったといいます。
それどころか、愛の深さで田沢湖の水深はますます深くなったそうです。

ある年の冬、胸を踊らせ田沢湖にやってきた八郎太郎を待っていたのは、以前十和田湖を巡って争った南祖坊でした。
彼は辰子の噂を聞きつけ、二人の仲を裂いてやろうと攻めてきたのです。
しかし、今度は守る人もいる八郎太郎は必死で戦い、南祖坊を退けました。
二人の幸福な冬が戻り、春になると八郎太郎は八郎潟に帰っていきました。
そして、また冬が来ると辰子の元へとやってくるのです。

潟尻の村人は、毎年八郎太郎がやってくる旧暦の11月9日、彼が田沢湖に入る時の音を聞いてはならないと、皆で集まり酒を飲んで歌い騒ぐという風習が残っていました。
かつては日本で二番目に大きかった八郎潟は、現在は干上がり、八郎太郎の住めるほどの広さではなくなってしまいました。
しかし田沢湖の辰子の所に移り、二人で幸せに暮らしていると言います。

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