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中世の物語

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出雲の縁結び「島根県民話」

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出雲の国では10月を神在月といい、毎年10月15日~17日(今で言う11月)まで諸国の神々を集めて縁組縁談など縁結びのご相談をされます。
神々は出雲大社の大国主を中心に朝から晩までご相談されています。

「あそこの息子とここの娘。あの息子とこの娘」
と、選び選び言うていなさるが、昼頃になると、
という具合に神々は申されて、昼も過ぎると神々は面倒になり
「あれとこれと、あれとこれと」
いう具合に縁組を決められて晩にもなれば
「あれ、これ。あれ、これ」
「あれこれ、あれこれあれこれ」
というように決められます。

この「あれこれ」になったら聞き間違えが起きて思いもよらない縁組が不幸になることもしばしば

そんな縁結びに集った神々の中にも30歳になる娘がいる神様が居らっしゃいました。
この娘はまだ嫁ぎてが見つかっておらず怒りながら言いました。

「父上は他人の縁組が大切なの?早く私のお相手を見つけてくだされ」
「実はもうとっくに縁組が決まっているのだが・・・あまりにも不釣り合いな話でなぁ」

娘はむくれながら言います。
「不釣合いかどうかは父上が決めることではございませぬ!嫁ぐのはわたしでございますよ!」

父神は仕方なく口を開きました
「ならば・・・遠方の山奥に住む貧乏炭焼きじゃ・・・それでも嫁ぐか?」
「遠くでも貧乏でも私は構いませぬ」

そういうととっとこ旅支度を整えて娘はささっと出て行ってしまいました。
幾つもの山を超えてついに旦那となる男にであったのです。

娘は男に出会うなり話しかけました。
「私は出雲の縁組であなた様と夫婦になるようにきまったものでございます。今日からここでお世話になります」

男は驚いて言います
「おらはそんなこと知らん。貧乏暮しで嫁なんてとてもとれん・・・それにあんたのようなお姫様とおらとでは釣り合わねぇ」

娘は引かずにいいます
「いいえ、ここに置いて頂きます。出雲の偉い神さま達が決めたことですからね!」

根負けした男は娘を嫁に取ることにしました。
数日すると男の家の米がなくなってしまいました。

娘は
「お米がなくなってしまいました。どうしましょう」

それを聞いた男は困り果てました。
男は炭と米を交換して生計を立てていたのですがもう炭を切らしていたのです。

それを見ていた娘は懐から金のつぶを出して言います。
「これと米とを交換していただきましょう!」

金や銭をみたことがない男ですからこのような物と米とがこうかんできるのか?と不思議に思いましたが立派な姫がいうことだと信頼して山を下ることにしました。

山を下る途中、川に差し掛かった時のことです。
男は金のつぶをひとつぶ川に落としてしまいました。

川を除くと小魚がつぶをついばみます。
そのようすがおもしろかった男は次から次へと金のつぶをおとしてとうとう娘からもらった金のつぶを全て川に落としてしまいました。

手ぶらで帰った男は娘に問いつめられました。
「お米はどうしたのですか?私の渡した金のつぶは?」

男は事の一部始終を話しました。
すると娘は呆れ返ってしまいました。

そんな娘を見た男は娘に言います。
「あんなもんならオラの炭焼き小屋の近くにゴロゴロしとる。明日取りに行こう」

明くる朝、男は娘を連れて炭焼き小屋にいくとその横がなんと金の山だったのです。
大国主の縁結び
娘はびっくりするやら大喜びするやら男に言いました。
「あなたさまはもう貧乏暮らしをしなくてよいのです!」

こうして男と娘は幸せに暮らしました。
実はこの夫婦、大国主を中心にした会議で「あれこれ」で決められた聞き間違えの夫婦だったのです。

にも関わらず上手く行く夫婦もあるようです。


「大国主命の縁結び」登場人物

<大国主命>
出雲大社の主祭。神在月には神々を集めて縁結びのご相談をされる

<娘>
縁結びのご相談に参加する神様の娘で炭焼きの貧乏人と縁組が決まった

<男>
炭焼きの貧乏人。銭も金も知らない。

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