» 国譲り‐天照大御神の宣言‐「古事記 -712年献上 作者:太安万侶 -」

古事記

古事記

古事記は存在する日本最古の歴史書。
上巻は日本神話、中巻は神武天皇から
応神天皇までの記事、下巻は仁徳天皇
から推古天皇までの記事が収られます。

国譲り‐天照大御神の宣言‐「古事記 -712年献上 作者:太安万侶 -」

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むかし、むかし。まだ人の世でなく、神々の世であった頃。
天界には、天照大御神(アマテラス)の治める高天原が、
地上には、大国主神(オホクニヌシ)の治める豊葦原国がございました。

豊葦原国は、葦草が豊かに生い茂る国。みずみずしい稲が、五百年、千年と豊かに実りつづけるという、それはそれはすばらしい地でありました。
豊葦原国
それでは、その豊葦原国を、大国主神が天照大御神へお譲りになった、
国譲りの話をいたしましょう。

天照大御神は、こう仰せになりました。
「豊葦原国は、わが子、天之忍穂耳命(アメノオシホミミ)がお治めになる国なのです」

天之忍穂耳命は、須佐之男(スサノオ)と誓約(うけひ)をしたときにお生まれになった、天照大御神のご長男でございます。
そこで、天之忍穂耳命は天照大御神に代わって地上を統治することとなり、高天原から地上へお降りになりました。

天之忍穂耳命は、高天原からお降りになる途中、天地の間にかけられた橋、天の浮橋(あめのうきはし)にお立ちになりました。
そこから下界をお眺めになると、豊葦原国の様子がよく見えるのです。
しかしその様子は、天之忍穂耳命にとってひどく不気味なもののように思われました。荒ぶる神々が、秩序なく跋扈しているように見えたのです。
「ふむ、豊葦原国は、ひどく騒がしいようだ」

天之忍穂耳命はそのまま地上にお降りになるのをおやめになり、いったん高天原に帰ってゆき、天照大御神にどうすればよいかお尋ねになりました。

事情をきいた天照大御神と高御産巣日神(タカミムスヒ)は、天の安河の河原に八百万の神々をお集めになって、思金神(オモヒカネ)に今後の対策を考えさせました。

「豊葦原国は、わが御子が治められる国として委任された国でございます。しかしながらその国は、ひどく乱暴な国津神どもがおおぜいいると思われるのです。では、どの神を派遣して、荒々しくふるまう神どもを説得し、こちらに従わせればよろしいか」

思金神がそう仰ると、そこへ集ったたくさんの神々が相談し、申し上げました。

「天照大御神のご次男、天菩比神(アメノホヒ)をお遣わしになるのがよろしいでしょう」
そうして、天菩比神が遣わされることとなりました。

しかし――、一年、二年、三年のときがすぎても、天菩比神は高天原へなんのご報告もなさりませんでした。
この神は大国主神に媚びへつらい、天照大御神のくだされたご命令にそむいてしまったです。

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