» 天の架け橋-天橋立伝説- 「丹後国風土記逸文」

日本神話

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天の架け橋-天橋立伝説- 「丹後国風土記逸文」

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遠い遠い昔。神の世の昔。
国を造りに高天原から伊邪那岐命(イザナギ)と伊邪那美命(イザナミ)がおいでになり、神聖な鉾で天浮橋の上から下界のドロドロとしたものをかき混ぜました。その鉾を引き上げると、先から滴が落ち、それが固まって島となったのでした。

それをご覧になっていた高天原の神々は、美しい国が出来たと大喜びになり、
「見事な美しい国だ。是非とも行ってみたい」
と下界を眺めていらっしゃいました。
すると、ある神様が、
「下りて行きたいが道がない。ここはひとつ、天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)様に頼んでみようではないか」
と提案し、皆で頼みに行きました。
当の天御中主神は、
「わかりました。ですが、本当に必要な時だけ、神のみが使う橋です。むやみやたらと使用するとたちまち壊れてしまいますのでご注意を」
と仰せになり、国へと通じる橋をおつけになりました。

神々はまたも大喜びになり、次から次へと、下界の国を目指して橋を下りて行かれました。
着いた先は日置(京都府宮津市)という場所でした。この日置の辺りには、見目麗しい娘がたくさんおりました。
天から下りてくる神々を見て、娘たちは、
「神様がこの地に御出でくださった」
と歓喜しました。
神々も麗しい娘たちをお喜びになり、瞬く間に仲良くなられ、様々な話をして楽しまれました。

そうしている内に娘たちは天に突きぬける橋を見上げ、
「私たちも一度、神々の地、高天原に行ってみとうございます。是非連れて行ってくださいませんか」
などとせがみ出しました。
これには神々もお困りになりました。
断っても断ってもあまりにもしつこくせがむ娘たちに、神々もついには折れてしまい、
「それならば内緒で連れて行ってあげましょう。ただし決して声を出してはいけませんよ」
と仕方なく、娘たちを連れて橋を上られました。
長く高い橋を上っていくにつれて、下界の景色が眼下に広がりました。
娘たちにとっては初めて見る景色。そのなんとも言い難い美しさに、娘たちは嘆声を漏らしてしまいます。
「わあ、綺麗」
それを耳にして神々は真っ青になられました。

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間もなくがらっがらっと、耳をつんざく程の大きな音を轟かせ、橋が崩れ始めてしまい、娘たちは橋の上から放り出されて散り散りになりました。
もうあの天への架け橋の形はなく、その一部だけが日置の近くに浮いているだけとなってしまいました。

その後、人々は残った天の架け橋の一部を、『天橋立』と呼ぶようになったといいます。


  • 挿絵:
  • 文章:
  • 「天の架け橋-天橋立伝説- 」登場人物

    <伊邪那岐命>
    神世七代の最後に生まれた男神。日本の国々や天地の神を伊邪那美と共にお産みになった。
    <伊耶那美命>
    神世七代の最後に生まれた女神。日本の国々や天地の神を伊邪那岐と共にお産みになった。
    <天御中主神>
    世界で最初に出現した神。

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