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古代の物語

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小野篁、情によりて西三条の大臣を助けたる語「今昔物語集」

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昔、小野篁と言う者がいた。
篁は学生の頃、罪を犯し罰せられる事になってしまったのだが、 その際、藤原良相という宰相が篁を弁護し、彼はなんとか難を逃れることが出来た。

その何年か後、2人は出世を重ね、篁は宰相に、良相も大臣になっていた。
だがそんなある日、良相は突然重い病に倒れ、それからしばらく経って急死してしまった。
さて、冥途の旅路に就いた良相であったが、閻魔王の使に捕まり、閻魔王宮に連れていかれてしまった。
閻魔王の前に引き出され、いよいよ閻魔王に罪を定められるとなったその時――良相は、冥官の中にあの小野篁を見つけた。

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良相が驚き、これはいったいどうしたことだろうか?と疑問に思っていると、 篁は閻魔王に
「この方は、心が正直で人の為になるお方です。 今度の罪は、私に免じて許してもらえないでしょうか」
と進言した。閻魔王は
「それは難しい事だが……篁がそう言うなら許してやろう」
と答えた。
篁が良相を捕らえた者に
「すぐに現世に連れ帰りなさい」
と言ったその瞬間、 良相は目覚め、元のように自分の部屋にいた。

その後、良相はすっかり病も癒え、内裏に上がれるようになった。
……だがやはり、あの日の、閻魔庁での出来事がそうしても引っかかる。
そこで篁に会うと、閻魔庁での出来事について尋ねた。
すると篁は、
「以前私の弁護をしていただいたお礼をしただけですよ。
……ただしこの事は誰にも言わないでくださいね」
と答えた。
良相はこれを聞いて
「篁はただの人ではない、閻魔王宮の臣なのだ……」と知り、いよいよ恐れ、
「人のために正しくあらねばならん」
と色々な人に説いてまわった。
しばらくするとこの事は自然に世間の知る所となり、
「篁は閻魔王宮の臣として冥府に通っている人だ」
と、皆恐ろしがったという。


登場人物

<小野篁>
平安時代の公卿・文人。冥途に通い、閻魔王の補佐をしていたという伝説で知られる。
<藤原良相>
平安時代の公卿。熱心な仏教信者。貧しい学生の援助も行なっていた。

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