» 根の国訪問「古事記 -712年献上 作者:太安万侶 -」

古事記

古事記

古事記は存在する日本最古の歴史書。
上巻は日本神話、中巻は神武天皇から
応神天皇までの記事、下巻は仁徳天皇
から推古天皇までの記事が収られます。

根の国訪問「古事記 -712年献上 作者:太安万侶 -」

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根の堅す国は木の根の至る先、地底の深い深いところにあるといいます。

大穴牟遅神(オホナムジ)が教えられた言葉のままに須佐之男命(スサノヲ)の大神の御許に参り至ると、その娘の須勢理毘賣(スセリビメ)が出迎えました。
二柱は互いに目が合ったかと思うと、一目恋に落ちて結び合われました。
須勢理毘賣は満たされた心で戻って父に言います。

「とても麗しい立派な神がいらっしゃいました」
「これはこれは、葦原色許男(アシハラシコヲ)ではないか」

大神はそう言い、大穴牟遅神を呼び入れて蛇の室屋(むろや)に寝かせました。
根の国訪問
すると、妻の須勢理毘賣は蛇の領布(ひれ)を夫に授けて「蛇が襲いかかってきたら、この領布を三たび振ってうち払いなさいませ」とこっそり言いました。
教えのとおりにすると、なんと蛇は自らすっかり大人しくなったのです。
おかげで大穴牟遅神は安らかに眠り、朝になると易々と出てきました。

次の日の夜、大神は呉公(むかで)と蜂の室屋に大穴牟遅神をお入れになり、須勢理毘賣がまた呉公と蜂の領布を授けて、昨日と同じようにお教えになりました。
大穴牟遅神は朝になるとまた易々と出てきました。

次に大神は鳴鏑(なりかぶら)を広い野の中へ射入れました。
鳴鏑は空気を切るような音を立てながら野の地面に突き刺さり、大神は大穴牟遅神にその矢を取ってくるように言いました。
そして大穴牟遅神が野に足を踏み入れるのを見ると、すぐさま火をつけて野を焼き巡らしました。
大穴牟遅神がどうやって出るか分からないでいると、根の国のネズミが足元にやって来て不思議な言葉を喋りました。

「内はホラホラ 外はスブスブ」

その呪文を聞くと大穴牟遅神は、はっとひらめき、足元の地面を踏みます。
すると体は穴に落ち、その穴に隠れる間に火は焼け過ぎました。
そこへ先ほどのネズミが鳴鏑をくわえて持ってきて大穴牟遅神に奉りました。
矢をよく見ると、矢羽はそのネズミの子がみな食ってしまっていました。

須勢理毘賣は、夫は死んだと思って葬式の道具を持って大声で泣いていました。
その父の大神も、すでに大穴牟遅神は死んだと思って野にお立ちになった。
しかしそこに鳴鏑を持った大穴牟遅神が現れ、大神に鳴鏑を奉ったのです。

それを認めた大神は大穴牟遅神を家に連れて行って、大きな大きな室屋に招き入れ、頭の虱を取るように言いました。しかしその頭を見ると、呉公がざわざわと湧いています。
すると、妻の須勢理毘賣が椋(むく)の木の実と、赤土(はに)を取って夫に授けました。これらをどうやって使うというのでしょう。
大穴牟遅神がその木の実を食い破り、赤土を口に入れて唾と一緒に吐き出せば、大神は呉公を食い破って赤い唾を吐き出したのだと思って、なんと愛しい奴だと心に思いすっかり心を許してお眠りになりました。

その間に大穴牟遅神は眠っている大神の髪を掴んでその室屋の垂木ごとに結い付け、五百人がかりで引くほどの岩で室屋の戸を塞ぎます。
妻の須勢理毘賣を背負ってその大神の生太刀と生弓矢と天の詔琴を取り持って逃げ出でるとき、天の詔琴が樹にふれ、大地がどよめくほどに鳴り響きました。

お眠りになっていた大神は飛び起き、垂木ごとに結ばれていた髪が室屋を引き倒します。大神はすぐさま大穴牟遅神達を追います。
けれども、垂木に結った髪を解く間に、大穴牟遅神達は遠くにお逃げなさった。

なんとか髪をほどいて黄泉比良坂に追い至り、遥か遠くに夫妻を望み見て大神は大穴牟遅神に呼ばわります。
「お前が持っている生太刀、生弓矢をもって腹違いの兄弟を坂の尾根に追い伏せ、河の瀬に追い払って、貴様は大国主神(オホクニヌシ)<大いなる国の神>となれ。
また、天の詔琴をもって宇都志國神(ウツシクニタマノカミ)<葦原中国を守る神>となれ。
そして我が娘、須勢理毘賣を正妻にむかえ、宇迦の山のふもと、地底の岩根に届くまでに宮柱を太々と掘り立て、高天の原に届くまでに千木を高々と聳やかして住まうのだ。この奴(やっこ)め。」

大穴牟遅神は生太刀、生弓矢をもって八十神を追い払い、初めて国をお造りになられました。
そして、稲羽の八上比賣と先の約束の通りに婚姻を結ばれました。
しかし八上比賣は正妻の須勢理毘賣を畏れて、生まれた子を木の俣に刺し挟んで稲羽の国に帰ってしまいました。
その子を名づけて木俣神と言い、またの名を御井神と言います。

さあ、大国主神の国造りの始まりでございます。

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